生理前になるとホルモンバランスが崩れ、どうしても肌が荒れてしまいがち…。今回は、そんな肌バランスが崩れやすい時期のために、普段からできる対策をご紹介します。
生理前の肌荒れは、ホルモンバランスが崩れてしまうことが原因です。女性の体にはエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンがあり、生理周期によってこれらの比率が変わることが、肌荒れを引き起こすきっかけとなります。
生理前になると、肌のキメや潤いを調整する働きを持つエストロゲンが減少を始める一方、プロゲステロンは増加します。プロゲステロンは男性ホルモンと似た働きをするもの。これが増えると皮脂が過剰に分泌されるほか、シミができたり肌の状態が不安定になったりすることで知られています。また、生理前になるとイライラすることが多いのも、これらのホルモンバランスの乱れが原因です。
周期的なホルモンの増減を意図的にコントロールすることはできません。だからこそ、無理にバランスを取ろうとするよりも、「生理前には肌が荒れやすい」ということを念頭に置いて、できるだけ肌荒れを助長しないことが大切です。
大人ニキビの原因にもなる女性ホルモンですが、肌をつややかにするなど女性の美しさを保つ役目も担っています。生理によるホルモンバランスの乱れも、私たちの体の中で美しさを作るための自然な出来事と捉えて、上手に付き合っていきたいですね。
漢方の考え方に「気」「血」「水」 というものがあります。生理はこのなかの「血(けつ)」が関わっています。「血」は、体内を流れる赤い液体すべてを表現し、ホルモンバランスを調整したり酸素や栄養を体中に運んだりする働きがあります。
生理の周期でホルモンバランスの変化が起こるということは、その変化が起こっているときは「血」が乱れやすくなるということ。生理前に「血」が乱れると、月経異常だけでなくクマやくすみなどの血色不良、免疫力低下による肌荒れが起こります。
この状態を改善するためには、日ごろから血液を作ったりめぐりをよくしたりするものを食べるほか、運動で血行を促し、めぐりを良くするように心がけてください。
もちろん「血」だけではなく、「気」や「水(すい)」を正しい状態にしておくことが肝心です。生理中は特に精神的に不安定になりやすく、特にストレスが溜まりやすい時期。ビタミンを中心とした栄養素を多く摂り、リラックスできる休養の時間を多めに確保して「気」を整えましょう。「水」はリンパマッサージやストレッチをして体内で循環させることや、水分をしっかりと摂ることが大切です。
生理前の肌トラブルを防ぐために最も有効な方法は、日頃から肌のターンオーバーが正しく行われるような生活を送ること。肌が敏感になりがちな時期生理前だけ特別なケアをするのではなく、常に肌荒れに悩まないような体質・肌質の改善を心がけてくださいね。
大学院薬学部を修了後、再春館製薬所に入社。薬剤師。医学・薬学の知識を活かし、お客様対応を行う社員に医学・薬学、そして漢方研修を実施し人材育成を担っている。また、日々お客様の症例相談、服薬指導も行う。再春館製薬所監修『おうち漢方(新星出版)』の監修を担当し、「漢方は敷居が高そう」と思いがちな若い女性特有の冷え・月経痛・便秘・肥満などの不調や悩みに効く漢方として、漢方の考え方をもとにしたアドバイスを提案。